【ソウル=フリーダム朝鮮】テ・ヨンホ元駐英北朝鮮公使であり、韓国「国民の力」の元国会議員が、ウクライナに抑留されている北朝鮮軍捕虜の自由帰還を支援するため、100万ウォンを寄付したことが分かった。

この後援は、市民団体「同胞統一連帯」が進める「北朝鮮軍捕虜自由送還プロジェクト」の一環であり、現在ウクライナに残されている2人の青年捕虜を支援するために実施されたものだ。

同団体によれば、昨年8月10日、ウクライナの戦場で北朝鮮兵3人が捕虜となり、そのうち1人は自ら命を絶った。残る2人も繰り返される自殺未遂や深刻な心理的不安に苦しんでいるという。

現地取材チームの報道では、21歳と27歳の2人は強い恐怖と不安に苛まれている。北朝鮮では「捕虜になるくらいなら自決せよ」と洗脳教育を受けるため、従わなければ家族が処罰を受け、政治犯収容所に送られるという。こうした背景から、彼らは罪悪感と恐怖心に駆られ、自殺を繰り返し試みているとされる。

これに対し「同胞統一連帯」は現地取材班と連携し、捕虜の心理的安定と自由帰還を支援するキャンペーンを開始。脱北者社会はビデオメッセージや手紙を通じ、彼らに「家族のような温かさ」を伝え、募金活動も継続している。

寄付金は医療・生活支援に活用

集められた寄付金は、故郷の食べ物や医薬品、生活必需品、書籍などに充てられる予定だ。団体側は「傷ついた心を癒やし、自由な人生を準備する基盤となる」と説明している。

同団体のチャン・セユル代表は「捕虜の青年たちに必要なのは単なる物質的援助ではなく、自由と希望へのメッセージだ」と強調。「市民の関心と声援こそが、彼らを死ではなく自由へと導く道しるべになる」と訴えた。

ウクライナで戦争捕虜となった北朝鮮兵2人。年齢は21歳と27歳。

自由を求める光

団体はウクライナ脱北者ディアスポラ協議会や高麗人協会とも協力し、心理的安定や生活支援を拡充している。

「敵に捕まることは即ち裏切り」とする北朝鮮政権の残酷な論理の中で、2人の北朝鮮兵は故郷の家族への罪悪感と恐怖に苛まれながらも、自由を求める小さな光を絶やさずにいる。

テ・ヨンホ氏の今回の後援は、そうした若者たちにとって新たな希望の火種となる見通しだ。